月読社の由緒書きに綴られている調神社と月読命の関係性
御祭神
月読命(つくよみのみこと)
前回は月読社の御祭神である月読命についてご紹介させて頂きました。
今回はこちらの月読社の変遷と、調神社と月読命の関係について考察していきます。
調神社は以前週末ただたかでもご紹介させて頂いた神社です。
浦和駅からほど近いところにある、狛犬ではなく、代わりにウサギの石像がある神社であり、アニメの舞台になったりと有名な神社です。
調神社の現在の本殿の御祭神は、
天照大御神(あまてらすおおみかみ)
豊宇気毘賣神(とようけひめのかみ)
素盞嗚尊(すさのおのみこと
です。(表記は由緒書きまま)
調神社の旧本殿の御祭神は
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
です。
他には境内に摂末社が二つあるのですが(参拝できないものを除く)、
調宮天神社の御祭神は菅原道真公。
金毘羅神社の御祭神は大物主神。
以前調神社のご紹介の際にも綴ったのですが、
つき神社というお名前なのに月読命を祀っていないんですよね。
お名前やウサギの石像など『つき』と関連することが多いのに、月読命を祀っていない。
そのことがずっと気になっていましたが、今回こちらの月読社に参拝させて頂いたことで、少し謎が解けたような気がします。
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さいたま市にある月読社の御由緒
こちらの月読社では二つ由緒書きが縦に並んでいます。
上の由緒書きには、
第六代孝安天皇二十年の創建
当時、(伊勢)神宮の神領であり、その農耕の神として祀られた
一反五畝四歩の伊勢田と言われる神田が在った
その神田に因み村号を神田(じんでん)と名付けられた
その神田で収穫された初穂舞は、調神社へ一旦納めて、他の貢物と一緒に伊勢の神宮に納められたと伝えらえれる
とあります。
また、下の由緒書きには上と同じ内容の他にこう記されている。
(但し読解力不足の為、正確に読み取れない)
月読社は元々八王子村(現さいたま市桜区)に鎮座していた?
その後、月読社は現在の地に鎮座された?
その際、武蔵一宮氷川神社と同体であったっために、俗に氷川神社と称した。
→月読社から氷川神社と呼ばれるようになった?
→御祭神も須佐之男命だった?
また、このように記されている。
中世以来、月待信仰と調神社が発音上一体化され、調神社は月読社とも称されていたことから、当地と関係の深い調神社(月読社)を勧請して、農耕神として祀ったのであろう。
『風土記稿』神田村の項に
「氷川社 村の鎮守なり、永福寺の持、末社稲荷社」
と載るのが当社である。
明治に入り、氷川社として神田村の村社に列した当社は、旧来に復したいという村民の希望により、明治二十三年に社名を月読社と改称し、祭神も須佐之男命を改めて月読命とした。
つまりこちらの月読社は、
社名は 月読社 → 氷川社 → 月読社
御祭神は 月読命 → 須佐之男命 → 月読命
と移り変わってきたということでしょうか?
赤ラインの箇所はどういう意味なのでしょうか。
農耕神であれば須佐之男命の方が有名な気がするのですが・・・。
また、
こちらの由緒書きには調神社が月読社と称されていたとあります。
そして調神社から勧請して農耕神として祀った、つまり月読命を祀ったとのことですから、調神社の御祭神も月読命であった時期があると考えられます。
(もちろんこちらの月読社の由緒書きが必ずしも正しいとは限らない)
神社の御祭神が変わることはあり得るのか?
これは実際、あり得るのではないかと思います。
神仏習合や神仏分離の際に御祭神も変わってしまったこともあったでしょうし、その際に本来の御祭神があやふやになったこともあったかと思います。
また、月待信仰の流行った時代というのは、おそらく庶民の力というものが強くなっていた時代なのかなと考えらます。
ゆえに、庶民が信仰する神社の御祭神を自分たちが望む神様に変更した、ということもあったのかもしれません。
しかし、
こちらの月読社の御由緒で注目したいことは、早い段階で祀られていたのは月読命であり、後世の人々は御祭神を月読命に戻したいと願ったという点です。
それだけ月読命という神様が、現在のさいたま市の神田の辺りで信仰を集めていたと考えられます。
なぜこの地域で月読命が信仰を集めていたのか?
もしこの地域で信仰を集めていたのが須佐之男命なら、納得できます。
須佐之男命は出雲系の神様で、現在のさいたま市辺りにやってきた出雲系民族が須佐之男命を信仰したことは大いに考えられることです。
しかしそれが月読命となると理由が分からなくなります。
・・・。
考えられることとすれば、現在の神田の辺りには秦氏の系列の民族が住んでいたのでしょうか?
現時点ではなんとも言えませんが、今後月読命が祀られている神社を参拝していけば、何かが分かる日がくるかもしれません。
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